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コンクリート診断士とは
●はじめに
コンクリート構造物は、かつては限りなくメインテナンスフリーと考えられていましたが、近年ではアルカリ骨材反応や塩害による鋼材腐食などの早期劣化が顕在化しており、コンクリート片の剥落事故によって安全神話も崩壊してしまいました。
また、高度経済成長期以降に数多く建設された土木構造物・建築物が機能面で陳腐化したり、構造物それ自体が老朽化したりして、何らかの手当てが必要な時代を迎えようとしております。
しかしながら、従来のように壊れてから直す、機能面が陳腐化したら更新するというだけでは、今後に必要とされる費用は急激に増大することが予想されます。それを防ぐためには、維持管理・補修補強・アップグレードなどの技術や手法を体系化して、ライフサイクルコストを最小にしていく仕組みが求められています。すなわちコンクリート構造物を適切なシナリオに基づいて使いこなす時代に入ったと言えます。
社会の複雑な変化に対応できる「維持管理のPDCAサイクル」の確立が必要になります。そして、このサイクルを回すエンジンの役割として、コンクリート構造物の維持管理における「点検・調査・診断」の重要性がますます高まっています。
●コンクリートの劣化事例
アルカリ骨材反応による劣化(橋脚):
骨材中の反応性シリカ鉱物とコンクリート中のアルカリ性水溶液が反応して、コンクリートに異常膨張やひび割れを生じさせる。
骨材中の反応性シリカ鉱物とコンクリート中のアルカリ性水溶液が反応して、コンクリートに異常膨張やひび割れを生じさせる。
塩害による劣化(海岸付近の建物):
コンクリート中の鉄筋の腐食が塩化物イオンにより促進され、コンクリートのひび割れや剥離、鉄筋の断面減少を引き起こす。
劣化スピードが極めて早いのが特徴。
コンクリート中の鉄筋の腐食が塩化物イオンにより促進され、コンクリートのひび割れや剥離、鉄筋の断面減少を引き起こす。
劣化スピードが極めて早いのが特徴。
コンクリート診断士(以後、診断士と言う)は、 (公益社団法人)日本コンクリート工学会が実施するeラーニング講習会を受講し、さらに試験によって相応のレベルのコンクリート診断・維持管理の知識・技術を保有していると認定され、さらに登録したものに与えられる名称です。
同会の「コンクリート診断士制度規則」によれば、診断士は“コンクリート及び鉄筋等の診断における計画、調査・測定、管理、指導及び判定、ならびにそれらの品質劣化に関する予測及び対策等を実施する能力のある技術者”と定義されています。
これまでのコンクリート関連の資格が、新設構造物に使用するコンクリートの設計・製造・施工に主として関わってきたのに対し、診断士は蓄積されている膨大な既存構造物コンクリートを対象とするところが大きく違います。
同会の「コンクリート診断士制度規則」によれば、診断士は“コンクリート及び鉄筋等の診断における計画、調査・測定、管理、指導及び判定、ならびにそれらの品質劣化に関する予測及び対策等を実施する能力のある技術者”と定義されています。
これまでのコンクリート関連の資格が、新設構造物に使用するコンクリートの設計・製造・施工に主として関わってきたのに対し、診断士は蓄積されている膨大な既存構造物コンクリートを対象とするところが大きく違います。